雛のつるし飾りとは・・・
静岡県の伊豆稲取温泉に江戸時代から伝わる風習で、桃の節句にハギレで作ったぬいぐるみを竹ひごの輪から赤い糸に下げて雛壇の両脇につるします。
初節句に祖母が、母が、親類縁者がひと針ひと針縫い上げ、赤ちゃんの無病息災・良縁を願い、お祈りするお飾りです。普段の生活の中で神様、仏様に手を合わせてお祈りする時とは違って、願う事柄が具体的な形となって飾られるところに特徴があります。
雛のつるし飾り〈一例です〉
別名『桃飾り』とも呼ばれるつるし飾りには、それぞれの言い伝えや意味があり、代表的なものとして下記のようなものがあります。
- 桃
- 邪気・悪霊を退治し延命長寿をも意味します。早く花が咲き、実が多いので多産を象徴します。
- うさぎ
- 赤い目のうさぎは、神様の使いと言われ、縁起の良い動物とされています。
- 犬
- 犬のお産が軽い事にあやかり、安産でありますように。
- 巾着
- お金に不自由ない暮らしができますように。
- みかん
- ビタミンCをたくさんとって風邪をひきませんように。
- 俵のねずみ
- ねずみは大黒さまのお使いで金運がある。子供をたくさん産んで働き者になるように。また、米俵は食に困らないように。
- おしどり
- おしどり夫婦と言われるように、夫婦円満な家庭がもてますように。
- 三番叟
- 能でお祝い事につきもの。子供達は「神の子」と称され仕舞後は、病気にならないといわれています。
- 這い子人形
- ハイハイをたくさんする子は丈夫に育つと言われ、子供の健やかな成長を願っています。
- 金魚
- 金魚のように可愛らしい女性に育つように。又、赤い色には魔除け、厄除けの意味があります。
- 猿っ子
- 厄が去る。病が去る。難が去る。
- ふくろう
- 福や不苦労にかけて。
- 亀
- 長寿の象徴。
- 座布団
- 早くお座りができますように。
- 三角
- 香袋。気を静める香りはその昔、薬でもありました。
- おくるみ
- 風邪をひきませんように。
- 扇
- 末広がりで縁起が良い。
- とうがらし
- 虫除けの効能があり、娘にも悪い虫がつきませんように・・・。
- お雛様/殿と姫
- おひな様のように美しく、優しい女性に育つように。幸せな結婚ができますように。 ※これは月志オリジナルのお飾りで、稲取に伝わるものではありません。
月志オリジナルつるし飾り〈一例です〉
つるし飾りはもともと桃の節句に飾られてきたものですが、赤ちゃんの健やかな成長を願う気持ちは 男の子も女の子も同じもの。
こんな心のこもったつるし飾りを端午の節句にも飾ってほしい・・・ そんな気持ちで「端午の節句」に因んだお飾りを考えてみました。
※下記つるし飾りは月志オリジナルで、稲取に伝わるものではありません。
- 鯉のぼり
- 急流を登った鯉は龍になり天に登ったという伝説があり、子供の立身出世の夢が託されています。
- 桃太郎
- 桃は邪気・悪霊を退治し、延命長寿をも意味します。桃太郎のように正義感の強い子に・・・。
- 金太郎
- 健康のシンボル。強く、たくましく、丈夫に育つように。
- 天神様
- 学業の神様として知られています。
- 菖蒲
- 古くから厄除け、魔除けとされています。また、「尚武」や「勝負」と語呂合わせされて、将来立派な武士になるようにと端午の節句に飾られるようになりました。
9,720円より、
色々な種類を取り揃えてございます。
赤ちゃんの初節句につるし飾りを飾ってあげたい・・・。
でも、お裁縫は苦手で…という方に、手作りのつるし飾りも販売しています。
また、既にご自分で作っている方には、つるし飾り用吊り台やハギレ、房 等も販売しています。
詳しくは店頭または、お電話でお問い合わせください。
上記に紹介したもの以外にもまだまだ沢山あります。
おめでたいもの、縁起物、あやかりたいと願うもの…それぞれの飾りものが単なる語呂合わせや迷信、欲信であったとしても、
その子の幸せを願って作られる、この世でたった一つのお祝いものなのです。
伊豆稲取温泉のつるし飾り
『雛のつるし飾りまつり』が始まったのは平成10年1月。平成30年で21回目になります。
私たちはあるきっかけで初年度のイベントの準備中につるし飾りの事を知り、イベントのスタートと同時に店頭でつるし飾りを吊し、とにかく稲取温泉へ一度足を運んで『雛のつるし飾り』を見てきてほしいと勧めてきました。
お雛様の製造・販売に携わる者として、こんな素敵な風習を皆様に知ってもらい、我が子の成長を願って飾るお雛様の意義をもう一度考えてもらうきっかけとなったらいいな…と思ったのです。
平成14年からは、七段飾りや御殿飾りの展示も協力させていただいています。
今となっては、静岡県内ではもちろん県外にも広く知られるようになり、既にリピーターの方もたくさんいらっしゃる事でしょう。
もし、まだ稲取温泉のつるし飾りまつりにお出かけになっていない方は、本場の稲取温泉の“伝承”のつるし飾りを是非一度ご覧ください。
“創作”つるし飾りとは違う“伝承”の奥深さを感じていただけると思います。
人形・付属品の色、柄などは制作の都合上、変わる場合がございます。